メジャーデビュー15周年を迎え、一歩ずつ大人の階段を上ってきた木村カエラさん。幼いときから今も変わらないという本との向き合い方。愛読書は、もっぱら絵本。自宅の本棚には、子どもの頃から集めた作品がビッシリと詰まっている。そんな少女のような一面があるのもカエラさんらしさ。デビュー当時からの憧れだったという自身初の描き下ろしとなる絵本『ねむとココロ』の誕生秘話や、そのきっかけとなった読書体験について話していただきました!

「子どもの頃からたくさん絵本に触れてきました。なかでも大好きなのが、シェル・シルヴァスタインの『僕を探しに』です。作中に“カケラ”という言葉が度々登場するのですが、その響きが気に入って10代の頃は口癖のようによく使っていました。絵本を読み進める時は、“読書”というよりも、自分自身と会話するような感じ。そのときの気持ちに寄り添うものを手に取ると、綴られた言葉が私に“それで、いいのよ!”と語りかけてくれているようで、よく背中を押してもらいました。
振り返れば、デビュー当初は、自分のことばかり気にしていて、初アルバムのタイトルに自分の名前を冠すほどで。3年目で初めて武道館に立ったとき、大勢のスタッフとファンに支えられていたのを改めて気付かされて、もっと人に向けて曲を作らなきゃバチがあたると痛感して……。そんな反省や失敗をしたときも、だいたい絵本を読むと心が落ちついていく」

「プライベートでも転機があり、さまざまなものを背負いながら歌手活動を続けてきました。現実はすごくシュールで辛いこともたくさんある。それは例えるなら白黒の世界。でも頭の中に広がるファンタジーな世界は自由で色鮮やか。私の絵本「ねむとココロ」がカラフルな色彩なのはそうした考えからなんです。言葉が、漢字か、カタカナかで印象が大きく異なります。だから見たときのバランスを意識して、“ねむとココロ”という組み合わせのタイトルにしました。これは、中学時代からずっとノートに書き留めてきた曲の歌詞にも、同じこだわりが表れているはずです。昔から自分の気持ちを一度文章にして伝える方が整理できるタイプだったので、それが絵本作家としての活動にもいかされました」
おすすめの4冊はポイント10倍!

自分の中に毒を持て
岡本太郎
「20世紀を代表する洋画家である岡本太郎さんの生き様には、今をひた走る人へのヒントがあります。読むと世の中で常識とされている、その“つまらない常識”を捨てることができるかも……。最近の気分にとてもしっくりきた本でした」


世界音痴
穂村弘
「さまざまなことに馴染めない苦しさを告白したエッセイ集で、友人に勧められたのがきっかけです。想像から生まれているものではなく、自分の経験に基づいているエッセイはリアリティがあって、その内容に引き込まれて何度も読み返しました」


ちびまる子ちゃん
さくらももこ
「幼少期から大好きですべて読破しています。実写ドラマ『永沢君』の脚本を任させてもらったときは、それまでの読書経験が活き、さくらももこさんも共感してくれる内容のものを作ることができました。理屈抜きに世界観すべてが私にぴったりハマります」


僕を探しに
シェル・シルヴァスタイン
「なかでも倉橋由美子さんが訳したものは日本語の使い方が秀逸。自分の欠けた部分を追い求め旅に出て、自分の“カケラ”を探し続けるというストーリー。人は何かが足りていないからこそ“人間らしい“ということに気付かせてくれる。大人にも響く内容です」


木村カエラ
きむら・かえら/1984年、東京都生まれ。歌手活動のみならず、作詞家、2018年には絵本作家の才能も開花。今年でデビュー15周年を迎え、新曲を揃えたものとしては2年9か月となるアルバム『いちご』を7月31日にリリースする。
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