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厳選!クラシック
セレクション

グレン・グールド GLENN GOULD 没後35年、伝説のピアニストの魅力に迫る クラシックソムリエ協会 理事長 田中 泰 氏が徹底紹介!

グレン・グールド特集

9月25日の誕生日と10月4日の命日が相次いでやって来るグレン・グールドを特集。没後35年の今も全く人気が衰えない伝説のピアニストの魅力に迫りたい。まずは伝説の始まりとなった1955年録音のバッハ「ゴールドベルク変奏曲」。全ての録音テイクが収められた「コンプリート・レコーディング・セッションズ」も発売されて大きな話題に。続いてはモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第14番」。このヘンテコリンな演奏がなぜか癖になるところがグールドならでは。次はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」をお届け。第1楽章冒頭からグールド節が炸裂だ。そして最後はワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲をグールド自身が編曲したゴージャスな1曲。何を弾いても面白いのはさすがの一言。【田中 泰 氏 プロフィールはこちら

君はグレン・グールドを聴いたか

NEW! 2018年3月号(最終回)

グレン・グールド:バッハ「ゴールドベルク変奏曲」1981年録音

1年間続けてきた「君はグレン・グールドを聴いたか」は、今回でひとまず終了。
グールドの魅力の一端を感じて頂けたとしたらこれ以上の喜びはありません。個人的な話で恐縮ですが、クルマの中で音楽を聴く機会がとても多い僕のクルマのオーディオに収録された音楽の中身を改めて見てみるとバッハの多さが際立ちます。そしてそのバッハの半分程を占めているのがグールドの演奏なのだから、自分のグールド愛に驚きます。心の平穏を望む時に聴き続けられる音楽の筆頭にバッハがあり、グールドの演奏があるということなのでしょう。

というわけで、このコーナーの最後にお薦めするのはグールドが死の前年に再び録音を行ったバッハの「ゴールドベルク変奏曲」。1955年の最初の録音から四半世紀以上の時を隔てて誕生した新録音にはグールドのすべてが込められているようにも思えます。一生聴き続けるに値する音楽。その一枚がここにあります。

2018年2月号

ベートーヴェン:バガテル集

田中 泰 氏 コメント
フランス語で「取るに足らないもの」という意味の「バガテル」という妙なタイトルが付けられたベートーヴェンの小品集。全3集の中からグールドの好みによって選び出された13曲は聴き応え充分。このシンプルで素朴な味わいの小さな作品たちが、グールドの手にかかると宝石のような輝きを見せるのだから不思議だ。従来の演奏とは一線を画す溌剌とした表現力は聴いた瞬間にグールドのものとわかる面白さ。これだからグールドファンはやめられない。音楽室に飾られた厳しいイメージとは一味違う身近なベートーヴェンに触れられるのもこのアルバムを聴く楽しみのひとつだ。

2018年1月号

バード&ギボンズ作品集

田中 泰 氏 コメント
グールドの遺した隠れた名盤がこの「バード&ギボンズ作品集」だ。
ウィリアム・バード(1540頃−1623)とギボンズ(1583−1625)は共に大昔のイギリスの作曲家。今でこそ彼らの作品を手がけるピアニストもちらほら出現してはイルけれど、グールドがこのアルバムを発表した当時は全く無名の彼らの作品にクラシック界全体が意表を突かれた記憶が残る。
そしてその演奏の素晴らしさ。シンプルでともすれば無味乾燥にも思われがちなこの音楽に命を吹き込んだグールドの慧眼。まさに自分のスタイルに合った音楽を嗅ぎ分けるグールドならではの素敵な遺産だ。押し付けがましさの全くない音楽は、いついかなる時に聴いても耳に優しい。
現代人が求めているのはもしかしたらこんなアルバムなのではないだろうか。

2017年12月号

バッハ:リトル・バッハ・ブック

田中 泰 氏 コメント
クリスマスシーズンを迎えた今月は、クリスマスプレゼントにピッタリの素敵なアルバムをご紹介。
グールドのデビュー曲として名高い「ゴールドベルク変奏曲」のアリアから、ピアノ学習者ならば必ず練習した「2声のインベンション」や「メヌエット」に「フランス組曲」などなど。グールドが愛したバッハ作品の中から誰にでも親しめる名曲ばかりをグールド自身がセレクトしたこのアルバムは、まさにグールドからの素敵なプレゼント。
バッハに親しみたいと思っていた方や、初めてグールドを体験する方にもお薦めの1枚です。僕自身このアルバムを何度プレゼントに使ったことか。
アルバムジャケットには、ピアノに向かう幼いグールドの写真が使われているのも魅力的だ。

2017年11月号

「グレン・グールド坂本龍一セレクション」の素敵なチョイスに酔いしれる

田中 泰 氏 コメント
グレン・グールドの作品を集めたさまざまなアルバムの中でも特にその選曲に感心させられるのが「グレン・グールド坂本龍一セレクション」だ。2枚組の1枚目冒頭に収められたベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第1番」にまずやられる。有名な「3大ソナタ」ではなくこの1番を最初に持ってきたところが流石のセンスだ。ほかのピアニストとは全く違うアプローチで聞かせるこの1曲は、グールドの世界の入り口にぴったりだ。さらには坂本龍一自身旅行の際に常に持って歩くというブラームスの「間奏曲」や定評のあるバードなどなど。グールドのエッセンスが楽しめるアルバムだ。2枚目の最後に収められた「マルチェロのオーボエ協奏曲による~」までがひとつの物語のように感じられるこのアルバム。興味はあるけれど何を買ってよいのやらとお考えの方にお薦めしたい。

2017年10月号

「ゴールドベルク変奏曲1955年盤」のすべてがここに

田中 泰 氏 コメント
「グレン・グールド ゴールドベルク変奏曲1955 コンプリート・レコーディング・セッションズ」が発売された。録音時の全てのテイクがCD5枚(完成品の CDとLPも付属)に収められたこのアルバムはマニア垂涎。まさに伝説の名盤だからこそ成り立つ企画物だ。ディレクターとのやり取りを挟んで何度も繰り返される音楽を聴いていると、まさに目の前に存在するグールドを感じることができる。32歳の若さでコンサート活動を引退し、その後は死ぬまで録音することのみに音楽活動の道を見出したグールドは、すでに死すらも超越してしまったようだ。今改めてグールドの奏でる「ゴールドベルク変奏曲」に浸ってみたい。

2017年9月号

ベートーヴェンをこんなに面白く聴かせるピアニストは他にいない!?(ベートーヴェン:3大ピアノソナタ)

田中 泰 氏 コメント
自分に合う作曲家の作品を嗅ぎ分ける能力は音楽家にとって最重要。そのあたりのグールドの能力は際立っている。バッハを中心としたレパートリーは、ベートーヴェンやモーツァルト、ハイドンを網羅しつつ、ピアニストにとって重要な作曲家ショパンやシューマンはほとんど手を付けていないあたりが潔い。実は「ベートーヴェンなんて」などと語った言葉を残しつつも、きっと自分に合っていることを意識していたに違いないグールドのベートーヴェン。それは多くのピアニストたちの演奏とは全く違うアプローチが新鮮だ。ピアノ学習者には絶対にお手本にならないこの演奏が、我々リスナーにとってはまさに宝物。その違いを聴き分けられるようになったらクラシックの泥沼に足をズブズブ踏み入れたも同然だ。

2017年8月号

ピアノ四重奏曲変ホ長調

田中 泰 氏 コメント
グールドの演奏の特徴はと言えば、「正確無比の指さばき」「鼻歌交じりの名(迷?)演奏」「作曲家の指示を無視した表現力」などさまざまな言い方ができそうだが、その全てが混じり合って、グールドならではの、そしてグールドにしかできない音楽が出来上がっているとも言えそうだ。
そこに更にもう一言加えるとしたら、それは「陶酔」だろう。
美しい音楽に陶酔しきって奏でられるグールドの音楽は、演奏者の陶酔が聞き手に伝播するような力を持っている。
その瞬間を体験できる代表作としてお薦めしたいのが、シューマン「ピアノ四重奏曲」だ。
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4つの楽器で奏でられるピアノ四重奏曲の代表作として知られるシューマンのこの作品を選ぶのも、グールドならではの臭覚。自分にあった作品を見極めるのも才能だ。
この曲の第1楽章をぜひ聴いて欲しい。「陶酔」という言葉の持つ意味を改めて感じる瞬間がそこにある。

2017年7月号

グレン・グールド/
ブラームス:間奏曲集、4つのバラードより&2つのラプソディ
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

田中 泰 氏 コメント
グールドの数多いアルバムの中でも最も愛されている名盤の1つがブラームスアルバムだろう。
1960年の録音と、グールドの死の2年前にあたる1980年に録音され2枚のアルバムから伝わってくる慈しみのような音楽は、いつ聴いても心が癒やされる。

特にロマン派を代表する作曲家ブラームス最晩年の境地が描かれた「間奏曲集」は、他ジャンルのアーティストからも愛される名録音。
バッハのイメージが強いグールドの別の側面が垣間見られる瞬間だ。
仕事に疲れた心を癒やすのにも最適なこの1枚。ぜひお試しあれ。

そして、ブラームスと言えば、レナード・バーンスタインと共演したライブ録音「ピアノ協奏曲第1番」も歴史的な録音として有名だ。
冒頭に収録されたバーンスタインのコメント自体が2人のアーティストの絆と魅力を再認識する貴重な遺産と言えそうだ。

2017年6月号

グレン・グールド/
J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番~第5番・第7番

田中 泰 氏 コメント
伝説のピアニスト、グレン・グールドを楽しむための3枚目はバッハのピアノ協奏曲をご紹介。

本来はチェンバロのために書かれているバッハの作品を、現代の楽器であるピアノで弾くのが今では当たり前。そのさきがけとなったのがグールドだ。
世の中を驚かせたデビュー盤「ゴールドベルク変奏曲」以来、次々とバッハ作品をピアノで演奏し続けたことは、クラシック界に大きな変化をもたらした。
それはまるで埃をかぶった貴重な骨董品の汚れを洗い落としたような鮮烈さ。

その中のひとつバッハの「ピアノ協奏曲第1番」は、サカナクションの「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」の中に出てくる名旋律。
「この曲はなに?」と話題になったこともある名曲を、時代を超越したグールドの名演奏でご確認あれ。

2017年5月号

グレン・グールド・ストーリー ~ ベスト・オブ・グールド

田中 泰 氏 コメント
グールドを楽しむための2枚目は、モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」。 音楽史上最高の天才の誉れ高いモーツァルトの作品の中でも最も有名な曲のひとつ「トルコ行進曲つき」一般的には「トルコ行進曲」と呼ばれるこの曲の美しさと軽やかさは抜群。 当時ヨーロッパでブームとなっていた“トルコ風”のテイストをいち早く取り入れたモーツァルトの傑作だ。 この誰でも知っている有名曲をグールドが弾いたらどうなるかを是非ご自分の耳で確かめて欲しい。 太鼓を打ち鳴らしながら進むトルコ軍の様子をこれ程雄弁に表現した演奏は他にない。しかもグールド特有の鼻歌付きというのも魅力的だ。

2017年4月号

J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル録音)

<田中 泰 氏 コメント>
グレン・グールド(1932-1982)。
個人的にはその名を耳にしただけで体が反応する程の存在だ。
孤高の天才ピアニスト、グールドが亡くなってからすでに35年もの歳月が過ぎているにもかかわらず、人気は一向に衰えないどころか名声は更に輝きを増している。今回から毎月グールドの名盤を紹介しながら彼の魅力を伝えたい。
まずは彼のデビュー盤であるバッハの「ゴールドベルク変奏曲」。
1955年の発表当時、トロント生まれの23歳の若者の演奏は賛否両論。まさに伝説の始まりとなった記念碑的なアルバムだ。ジャズの世界で言えばマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」にも匹敵する歴史的名盤をご堪能あれ。

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