ナラティヴの被害学
発売日:2025年4月
- ページ数
- 335p
- ISBN
- 978-4-86766-071-3
- 著者情報
- 阿部 幸大(アベ コウダイ)
1987年、北海道うまれ。筑波大学人文社会系助教。専門は日米文化史。2023年に博士号取得(PhD in Comparative Literature)。人文社会系では初となる筑波大学発ベンチャー、株式会社Ars Academica代表。論文指導をはじめとする研究コンサルティング事業を展開する
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商品説明
『ナラティヴの被害学』は暴力批判の書である。なにが暴力で、なにが暴力でないのか。誰が加害者で、誰が被害者なのか。そうした暴力にかんするわれわれの認識は、ナラティヴという知識の形式によって強力に規定されている。ある複雑な事象を、加害者たる「やつら」と被害者たる「われわれ」という二元論によって単純化するナラティヴは、暴力は「やつら」の問題なのだとわれわれに教える。だが、暴力に反対する「われわれ」自身を加害者の立場に置いてみないかぎり、暴力の問題をラディカルに考えることはできない。暴力をふるうのは一部の異常者ではなく、われわれ全員なのだから。われわれが抵抗すべきは、戦争や虐殺のような大規模で明瞭な暴力だけではない。全暴力である。いま、暴力を「やつら」の手から奪還し、加害性を社会全体に再配分せねばならない―まさしく暴力を回避するために。ヴァージニア・ウルフ、トニ・モリスンから、村上春樹、ハーマン・メルヴィルまで。精神分析、情動理論から、記憶研究、エコクリティシズムまで。奴隷制、テロリズムから、慰安婦問題、アフロ・アジアまで。人文学の広範な領域を見渡しながら、阿部幸大は本書で「被害学」victimologyというナラティヴ分析の枠組みを理論化し、被害と加害の重層的なポリティクスを解きほぐす。
目次
第1章 ナラティヴの被害学
ナラティヴの被害学/加害性の再配分/本書の使いかた
第2章 トマス・ピンチョン『重力の虹』におけるエコロジカル・ナショナリズム
シュヴァルツコマンドーの人種的ナショナリズム/カウンターフォースの局所的撹乱/ピンチョンのエコロジカル・ナショナリズム/グローバル時代のラディカリズム
第3章 ノラ・オッジャ・ケラー『慰安婦』におけるコリアン・アメリカン二世の応答可能性
慰安婦問題と冷戦(以後)のアメリカ/マミーの呪い―アメリカの文化、朝鮮の歴史/コリアン・アメリカン二世の罪悪感/コリアン・アメリカン二世の応答可能性/部外者の責任/応答可能性を再構築する
第4章 トニ・モリスン『ビラヴド』におけるメランコリックな愛と醜い感情
『ビラヴド』と情動/トラウマの間世代的伝達/醜い感情/トラウマを翻訳する/結論
第5章 ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』におけるシェル・ショックとジェンダー
トラウマからシェル・ショックへ/セプティマスとシェル・ショック/クラリッサとシェル・ショック/フェミニスト・エピファニー
第6章 デブラ・グラニク『足跡はかき消して』におけるベトナム戦争と9・11以降のホームランド
間世代的トラウマとしてのベトナム/アメリカのホームランドでベトナムを再緑化する/反例外主義的光学
第7章 ハーマン・メルヴィル「バートルビー」におけるグローバル市場と受益者
グローバル市場のなかのバートルビー/「なにひとつ変えないほうが助かるのですが」/「ご自分で理由がおわかりになりませんか」
第8章 『トップガン』シリーズにおけるアメリカの軍事史と例外主義
ベトナム・シンドロームを蹴っとばす/「テロとの戦争」とノスタルジア/シリーズ化と相続
ほか
商品詳細
- 出版社名
- 文学通信
- サイズ
- 20cm
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 単行本
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