旅するナラティヴ 西洋中世をめぐる移動の諸相
発売日:2022年12月
- ページ数
- 285p
- ISBN
- 978-4-86285-377-6
- 著者情報
- 大沼 由布(オオヌマ ユフ)
同志社大学文学部教授。専門は中世英文学
徳永 聡子(トクナガ サトコ)
慶應義塾大学文学部教授。専門は書物史、中世後期英文学
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商品説明
今ここに、中世英文学の気鋭の研究者が集い、イングランドにおける多様なナラティヴ(語り)を繙いて、言語の併用、文化交流、思想の流動、写本の伝播も含めた広義の移動という視覚から中世社会に光を当てる。第1部「聖なるものと旅のナラティヴ」では、旅行記や聖人伝など物理的な移動に関係する記述や写本の挿絵などの分析を通し、移動にどのような思想や事情が伴い、何をもたらすのかを浮き彫りにする。第2部「越境とアイデンティティ」は、ラテン語から英語やフランス語など俗語が使用される多言語社会の中で、移動がアイデンティティや文化の形成といかに結びつき、影響したのかを明らかにする。第3部「異端と正統の境界」は、歴史文書やキリスト教神学書、宗教書の緻密な解析を通して、中世人の精神的な移動の有りようを描く。第4部「マテリアリティからみる移動」は写本や初期刊本を取り上げ、書物の伝播や受容の問題を論じる。本書は個々のテーマを分断せず、各章が有機的に結びついて、ナショナリティの形成や異文化交流など、現代の課題にも豊かな示唆を与える独創的で良質な共同論集。
遥か『オデュッセイア』の時代から,旅すること,移動することは文学に不可欠な要素であった。移動が盛んであった中世ヨーロッパ社会でも,旅の記録は巡礼記や旅行記,愛や冒険を描く中世ロマンス,聖人伝,年代記,百科事典など様々なジャンルの作品に記された。
今ここに,中世英文学の気鋭の研究者が集い,イングランドにおける多様なナラティヴ(語り)を繙いて,言語の併用,文化交流,思想の流動,写本の伝播も含めた広義の移動という視覚から中世社会に光を当てる。
第1部「聖なるものと旅のナラティヴ」では,旅行記や聖人伝など物理的な移動に関係する記述や写本の挿絵などの分析を通し,移動にどのような思想や事情が伴い,何をもたらすのかを浮き彫りにする。
第2部「越境とアイデンティティ」は,ラテン語から英語やフランス語など俗語が使用される多言語社会の中で,移動がアイデンティティや文化の形成といかに結びつき,影響したのかを明らかにする。
第3部「異端と正統の境界」は,歴史文書やキリスト教神学書,宗教書の緻密な解析を通して,中世人の精神的な移動の有りようを描く。
第4部「マテリアリティからみる移動」は写本や初期刊本を取り上げ,書物の伝播や受容の問題を論じる。
本書は個々のテーマを分断せず,各章が有機的に結びついて,ナショナリティの形成や異文化交流など,現代の課題にも豊かな示唆を与える独創的で良質な共同論集。
目次
はじめに(大沼由布)
第1部 聖なるものと旅のナラティヴ
1 体と心と言葉の旅――英仏版『マンデヴィルの旅行記』とイングランド像(大沼由布)
はじめに
1 イングランド人の語り手
2 執筆言語としてのフランス語
3 英仏版の違い
おわりに
2 境界を越えて旅した聖グースラークと『聖グースラーク伝』(石黒太郎)
はじめに
1 数々の「境界」を越えて旅したグースラーク
2 境界を越えた言葉の集まった『聖グースラーク伝』
3 中英語聖人伝における移葬のナラティヴ(菅野磨美)
はじめに
1 中世聖人伝における移葬
2 「ラプトゥス」(raptus)としての移葬
3 聖ウィニフレッドの移葬
おわりに
4 内なる目で辿る聖地――リンカン・ソーントン写本における受難瞑想とエルサレムへの仮想巡礼(杉山ゆき)
はじめに
1 ソーントンのキリスト中心主義的信仰と聖地への憧憬
2 「魂の内なる目」による仮想巡礼――『受難の神秘』の瞑想的な読書
おわりに
5 初期近代イングランドの旅行記における描写の視点――エルサレムの記述を中心に(高橋三和子)
はじめに
1 巡礼記におけるエルサレムの描写――中世後期から初期近代へ
2 ファインズ・モリソンの地図的視点からの描写
3 ジョージ・サンズの旅行者の視点からの描写
おわりに
第II部 越境とアイデンティティ
6 彼我の境の想像と越境――中英語ロマンスにおける地理的移動とアイデンティティの形成(趙 泰昊)
はじめに
1 聖地への巡礼と償罪のための十字軍遠征
2 『ウォリックのガイ』における巡礼としての東方遠征
3 サラセンの改宗と信仰の証明
おわりに
7 曖昧な国境――旅と自己同一性の揺らぎ(小川真理)
はじめに――作品の成立と受容
1 地理的・宗教的境界の曖昧さ
2 ベヴィスとイングランドのつながり
3 イングラン ほか
商品詳細
- 出版社名
- 知泉書館
- サイズ
- 23cm
- フォーマット
- 単行本
注意事項
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