久保田万太郎とジャンルの諸相

福井拓也/著

発売日:2025年2月

  • 久保田万太郎とジャンルの諸相
  • 久保田万太郎とジャンルの諸相
ページ数
260,6p
ISBN
978-4-911312-01-8
著者情報
福井 拓也(フクイ タクヤ)
1990年、広島生まれ。東京大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院助教を経て、上智大学文学部国文学科助教。研究分野はジャンル論を中心とした日本近現代文学。博士(文学)

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商品説明

本業は小説・戯曲で俳句は余技?小説家にして劇作家、演出家兼脚色家、“余技”の俳句は玄人はだし。ジャンルを往還する久保田万太郎の活動から考える近代文学の多面性。久保田万太郎の写生文、小説、戯曲、脚色、演出、俳句、句集、さらには芥川龍之介の小説に高浜虚子の俳句。それぞれに固有の背景と表現を読み解くことで、ジャンルの諸相とその交錯する様を明らかにする。

本書は、久保田万太郎の文学活動を総体的に捉え、その多様なジャンル間の関係性を明らかにすることを目的としている。久保田はしばしば“浅草”や“下町文学”の作家と規定されるが、その枠に収まらない広がりを持つ作家である。彼の作品は小説、戯曲、俳句といったジャンルを横断し、それぞれが相互作用を及ぼしながら発展してきた。
 しかし、近代文学史においては専ら小説を中心とした記述が主流であり、彼の創作における相互作用や舞台人としての活動は十分に考察されてこなかった。
 また、久保田の“自分”をめぐる表現も、近代文学の理念と必ずしも合致しない独特なものであり、それが彼の文学が研究の主流に乗りにくい要因の一つともなっている。たとえば、大正期の文学論争である“遊蕩文学撲滅論争”では、彼の作品が“色気”や“衒気”を排したものとして評価される一方で、文学的な統一性や自己の確立を重視する批評家たちからは、芸術的境地の不確実さを指摘されてもいた。
 本書は、こうした久保田の創作活動を通じて、ジャンルの歴史的形成や相互作用を解明し、彼の文学の特質を明らかにしようとするものである。作家論とジャンル論を交差させながら、久保田が時代とどのように向き合い、またどのように読まれ、受容されてきたかを探る。そして、それを通じて近代文学研究の枠組みでは掬い取ることが難しかった多様な文学的営みを照射していく。

目次

序章 方法と構成について
第一章 久保田暮雨「春寒」―デビュー以前の万太郎と写生文
補足資料 久保田暮雨「春寒」(『俳諧草紙』明42・5)
第二章 「朝顔」―万太郎と耽美派
第三章 連作『お米と十吉』と「暮れがた」―出発期の小説と戯曲
第四章 「末枯」―万太郎とノスタルジー
第五章 『道芝』―句集と作者
第六章 芥川龍之介「蜃気楼」―小説と作者
第七章 高浜虚子〈神にませばまこと美はし那智の滝〉―俳句と作者
第八章 「釣堀にて」―万太郎と新劇
第九章 泉鏡花「註文帳」と万太郎脚色―万太郎と新派
終 章 「三の酉」と『流寓抄』―戦後の万太郎と自己表象

初出一覧
あとがき
人名索引

商品詳細

出版社名
鼎書房
サイズ
22cm
フォーマット
単行本

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