カズオ・イシグロ、沈黙の文学
発売日:2024年5月
- ページ数
- 293,8p
- ISBN
- 978-4-911068-01-4
- 著者情報
- 原 英一(ハラ エイイチ)
1948年生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了、同博士課程中退。主な職歴:東北大学教養部助教授、東北学院大学文学部教授、東北大学大学院文学研究科教授、東京女子大学現代教養学部教授。現在、東北大学名誉教授。専門はイギリス小説およびイギリス演劇
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商品説明
日系イギリス人作家カズオ・イシグロ(1954‐)の全長編8作を読み解く。『幽かなる丘の眺め』(1983)から『クララとお日さま』(2021)に至る長編小説を、曲亭馬琴の“省筆”、「フロイト/デリダ」の“喪の作業”をキー概念に解き明かす。戦争と強制収容所の世紀であった「長い20世紀」を埋葬しようとするイシグロの小説世界の魅力を存分に語る。
カズオ・イシグロの語りながら語らない、沈黙の文学は何を「語って」いるのか。本書は、『幽かなる丘の眺め』(1983)から『クララとお日さま』(2021)に至る全長編8篇を曲亭馬琴の「省筆」をキーワードとして読み解こうとする試みである。馬琴は『南総里見八犬伝』中の「稗史七則」で、「偸聞(たちぎき)させて筆を省く」という「省筆」の手法を述べた。イシグロの小説では「偸聞」の語りが頻出する。読者は「信頼できない語り手」の語りを偸聞する過程で、語られていない巨大な何ものかとの対峙を迫られる。晩年のデリダは、バルト、ド・マン、フーコーら、二十世紀の知の巨人たち、さらにマルクス主義という巨大な思想を振り返って、フロイト的「喪の作業」を実践することに執念を燃やしていた。イシグロは、知の巨人たちではなく、歴史の暴風に巻き込まれ、非業の死を迎えなければならなかった幾千万の名もなき死者たちへの、それぞれにかけがえのない人生の記憶を持った死者たちへの鎮魂歌を、愛惜の念を持って、書き続けている。彼の作品の全体が、戦争と強制収容所の世紀、「長い20世紀」を埋葬しようとするフロイト/デリダ的「喪の作業」であり、「喪の物語」というマクロ・ナラティヴを構築する。
目次
序 沈黙の語り
第1章 『幽かなる丘の眺め』『浮世の画家』―省筆と偸聞
第2章 『日の名残り』―可笑しな執事のクウェスト・ロマンス
第3章 『癒やされざる者たち』―ネクロポリスに充満する空虚な饒舌
第4章 『わたしたちが孤児だったころ』―失われた楽園への旅
第5章 『わたしを離さないで』―別な歴史、別な人間
第6章 『埋葬された巨人』―逆クウェストは終着の浜辺へ
第7章 『クララとお日さま』―語られずも、そこにあるディストピア
終章 喪の作業
商品詳細
- 出版社名
- 北烏山編集室
- サイズ
- 20cm
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 単行本
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