中間小説とは何だったのか 戦後の小説雑誌と読者から問う

小嶋洋輔/〔ほか〕編

発売日:2024年5月

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ページ数
367p
ISBN
978-4-86766-051-5

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商品説明

それは、戦後から高度経済成長期の日本社会そのものを映しだす――
戦後の日本、人々は雑誌で小説を読み、小説とともに人生を味わい、数多くのベストセラーが生まれた。本書がテーマとする小説は、昭和二〇年代から四〇年代にかけて隆盛した、純文学と大衆小説の「中間」的な小説という意味で「中間小説」と呼ばれるものである。

はたして、かつて多くの読者を引きつけ、多様なジャンルを呑み込んだ中間小説とは何だったのか。中間小説の生まれる場となった雑誌とはどのようなものだったのか。その誕生から読者層が形成され、市場が確立、拡大するまでを追う。

第一部「昭和二〇年代の中間小説誌」、第二部「昭和三〇年代の中間小説誌」、第三部「昭和四〇年代の中間小説誌」の3部構成より成り、各部、各論の間に代表的な中間小説誌に関するコラムを付す。巻末の関連年表には、関連雑誌の創廃刊、文学賞の設定時期などをまとめ、変わりゆく中間小説誌の全体を理解できるものを作成。加えて、具体的な小説作品からも中間小説の輪郭に触れ、より深く味わってもらうため、編者らの選んだブックガイド八編を収録。

取り上げる雑誌は『日本小説』『小説と読物』『苦楽』『小説界』『小説朝日』『小説新潮』『別冊文藝春秋』『オール讀物』『別冊モダン日本』『小説セブン』『小説現代』『野性時代』等。登場する作家たちは、五木寛之・遠藤周作・大佛次郎・菊池寛・柴田錬三郎・丹羽文雄・舟橋聖一・松本清張・山田風太郎・吉行淳之介等。

ほとんど論じられることはなく、曖昧なままにやりすごされてきた「中間小説」にさまざまな角度から光を照射することで、それぞれの雑誌や出版、作家や作品、あるいは編集者、読者が相互に干渉し合い、それぞれの時代に段階を経て、大きなうねりの一部となっていく過程をたどる。

【戦後日本には、多くの小説読者が生まれた。活字への飢えや新たな時代の自由な空気から、文学青年や一部のエリートのためではない、大人も味わい楽しめる面白さが小説には求められた。しかしその面白さは、戦後すぐの混乱のさなか、雨後の筍のごとくあらわれたカストリ雑誌の類いとはちがう。瞬間風速的に消費されるキワドイ娯楽の面白さではない、ときに人生の指南書となり、伴走者となるような面白さであるべきだった。人々は雑誌で小説を読み、小説とともに人生を味わい、数多くのベストセラーが生まれた。昭和二〇年代から四〇年代にかけて隆盛したこれらの小説は、純文学と大衆小説の「中間」的な小説、という意味で「中間小説」と呼ばれた。】……「中間小説とは何だったのか 「はじめに」に代えて」より

目次

中間小説とは何だったのか―「はじめに」に代えて [高橋孝次]
 一 中間小説とは何だったのか 
 二 中間小説誌と呼ばれた雑誌 
 三 本書の構成 

第一部 昭和二〇年代の中間小説誌

第1章 「中間小説誌」の誕生―和田芳恵と『日本小説』 [高橋孝次]
 一  はじめに― 「中間小説」とはなにか、という問い
 二 『日本小説』― 中間小説誌の誕生
 三 丸炭・丸木の新興出版・大地書房
 四 編集者としての和田芳恵
 五 『日本小説』という越境性

コラム 『小説と読物』― 「筋の面白さ」を追求した先駆け [小嶋洋輔]
    『苦楽』― 大佛次郎の再始動 [牧野悠]
    『小説界』― 堅実な中間小説誌を目指して [西田一豊]
    『小説朝日』― 自覚的な中間小説誌 [西田一豊]

第2章 「チャンバラ中間小説」の徴候―戦前期大衆文学論からの要請 [牧野悠]
 一 潜在していた「中間小説化」への要望
 二 「大衆文芸」と「時代小説」
 三 知識人のためのチャンバラ
 四 「宮本武蔵論争」と“剣の反知性主義”
 五 触発された「教養」
 六 戦後の読者獲得戦略

第3章 舟橋聖一『雪夫人絵図』と中間小説誌 [西田一豊]
 一  『雪夫人絵図』について 
 二 『雪夫人絵図』まで― 舟橋聖一と「世評」 
 三 『小説新潮』と『雪夫人絵図』―戦略とその技法 
 四 窃視と二人の読者 

コラム 昭和二〇年代の『小説新潮』―「御三家」の筆頭 [小嶋洋輔]

第4章 大衆雑誌懇話会賞から小説新潮賞へ―「中間小説」の三段階変容説 [高橋孝次]
 一 はじめに―「純粋小説論」との分節化
 二 「夏目漱石賞」と「女流文学賞」の〈民主的な方法〉
 三 「大衆雑誌懇話会賞」の〈編集者銓衡〉と林房雄
 四 「大衆文芸賞」の〈読者代表〉
 五 「小説新潮賞」の失敗―丹羽文雄のマス・プ ほか

商品詳細

出版社名
文学通信
サイズ
21cm
フォーマット
単行本

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