運び屋として生きる モロッコ・スペイン領セウタの国家管理下の「密輸」
発売日:2024年4月
- ページ数
- 232,24p
- ISBN
- 978-4-560-09278-1
- 著者情報
- 石灘 早紀(イシナダ サキ)
1990年生まれ。2021年、一橋大学大学院社会学研究科修了(修士・社会学)。専攻は国際社会学、モロッコ・スペイン領セウタ研究。毎日新聞社記者、在モロッコ日本国大使館派遣員を経て、現在、国際開発コンサルティング会社勤務
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商品説明
ルールのある密輸行為という矛盾。逆に言えば、ある一定のルールのもとで、「密輸」が認められたとも言えるのではないか。これが「密輸」の特異性であり、ほかの密輸行為と区別して括弧書きで表すいちばんの理由だ。それでは、なぜそのような特異性が生まれたのか。調べていくなかで、その背景にはモロッコやスペインの抱える歴史的、社会的、経済的、政治的、外交的問題が密接にからみ合っていることがわかってきた。
立命館大学教授・小川さやか氏推薦!
「スペインの飛び地との国境で目撃したモロッコの運び屋女性たちへの暴力。最初は黙認・容認されていた生存のための越境貿易。それがどうして人権侵害まがいの暴力へと発展したのか。それを調べていくうちに、この現象が二国間の関係から移民問題やテロなどをめぐる国際的な思惑、人道的規制が生み出した矛盾、そしてモロッコ国内で周辺化される女性たちの貧困など様々な構造的問題と結びついていることが浮かび上がる。国境で紡がれる小さな生に対峙して構造的課題を導き出したスリリングな学術書」
モロッコ北部には、セウタととメリリャという二つのスペイン領(飛び地)がある。このうちセウタの国境地帯では、1990年代から2020年ごろまで、周辺に住むモロッコ人による「密輸」が行われていた。
密輸というと違法薬物の取引や密漁、はたまた国境をまたいだ人身売買といったおどろおどろしいイメージを抱きがちだが、本書のテーマである「密輸」は、モロッコへの商業輸入に対して通常課される関税を逃れているものの、スペイン・モロッコ当局から容認・管理されている越境貿易の一種である。この「密輸」はセウタからモロッコに食料品や衣料品を運ぶものであり、最盛期にはおよそ40万人がかかわっていたとされる。
本書では、「密輸」を生んだ諸問題に目を配りながら、女性主体の運び屋をはじめとする従事者(パトロン、卸商など)の暮らしを中心に「密輸」がどのような営みであったのかを、実地調査とインタビューをもとに詳細に描いていく。インフォーマル経済、国境、ジェンダーに関するこれまでの研究とも接続し、「密輸」という現象を生み出した社会的構造について明らかにした力作。
目次
はじめに
序章 「密輸」を研究する
第一章 二人の王様にとっての爆弾
アフリカ大陸のヨーロッパ
歴史的背景
例外状態にあるセウタ
移民の経由地
「モロッコはテロリスト輸出国」
鍵を握る西サハラ問題
「外交カード」と飛び地領
第二章 容認された「密輸」
「密輸」の始まり
組織化された「密輸」
運び屋とは誰か
なぜ容認されているのか
「密輸」の弊害
第三章 管理するスペイン
「密輸」の問題化
「密輸」専用通路の設置
スペインによる規制強化
「重ね着密輸」の本格化
第四章 「密輸」に依存する町
セウタ
フニデクの「密輸」品スーク
カサブランカの闇スーク─
メリリャとナドール
第五章 根絶をめざすモロッコ
根絶に向けての舵取り
窒息するセウタ
運び屋の生存戦略
コロナ以降の国境
終章 運び屋として生きること
あとがき
索引/注/参考文献/調査対象者一覧
商品詳細
- 出版社名
- 白水社
- サイズ
- 20cm
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 単行本
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