近代日本の地下水脈 1「哲学なき軍事国家の悲劇」

保阪正康/著

発売日:2024年1月

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巻の書名
哲学なき軍事国家の悲劇
ページ数
254p
ISBN
978-4-16-661440-0
著者情報
保阪 正康(ホサカ マサヤス)
昭和史研究家。1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒。編集者時代の1972年に『死なう団事件』で作家デビューして以降、一貫して日本の近現代史を検証し続け、約5000人もの歴史の証人を取材してきた。2004年、昭和史研究の第一人者として第52回菊池寛賞を受賞

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商品説明

なぜ軍部は人命を軽視し、無謀な作戦を強行したのか―。素朴な疑問の答えを求める著者の長い旅は、半世紀に及んだ。急造の帝国主義国家に内在する矛盾と歪み、地下水脈化した思想に着目し、今も日本社会に流れるエネルギーの正体に迫る!

"この1冊で近現代史がざっくりわかる!
保阪昭和史の決定版

なぜ日本は太平洋戦争を始め、敗戦に至ったのか。なぜ「玉砕」「特攻」といった無謀な作戦で多くの人命を失ってしまったのか?――
著者が昭和史の研究に携わるようになったのは、こうした謎を解明したいとの強い動機からであった。今まで5000人近くの昭和史関係者にインタビューを重ねてきたのは、それはこの根源的な問いに対する答えを探す旅でもあった。そして、敗戦に至る道筋を調べれば調べるほど、昭和だけでなく、明治維新以降の歴史をもう一度つぶさに検証しなおす作業に迫られることになった。
その結果、著者は「地下水脈」という歴史観にたどり着く。
近代日本の始まりである明治の初期に遡ろう。
徳川幕府が倒れて明治新政府が誕生したものの、新政府内の指導者には、日本が進むべき「国家ビジョン」が明確にあったわけではない。明治22年に大日本帝国憲法ができるまでのほぼ20年間は、「日本という国をこれからどのように作り変えていくか?」をめぐって、さまざまな勢力の""主導権争い""がおこなわれた時期だった。
著者はこの間に、次の5つの国家像が模索されたと考えている。
1欧米列強にならう帝国主義国家
2道義や倫理を尊ぶ帝国主義的道徳国家
3自由民権を軸にした民権国家
4アメリカにならう連邦制国家
5攘夷を貫く小日本国家
実際の歴史では、日本は1を歩み、すべてが軍事に収斂していくことになる。その結末が、昭和の悲惨な敗戦であった。
では、残る2〜5の国家像は、そのまま消えてしまったのか?
そうではない。4つのそれぞれの思想やビジョンは、いったん日本社会の地下に潜りながら、いまも脈々と流れ続けている。そして歴史の重要なターニングポイントを迎えるたびに、噴出してくるのである。
「地下水脈」という歴史観でとらえれば、現在の日本の窮状――経済の迷走も、終身雇用サラリーマン社会が変わらないのも、政治がダメなのも、エリート教育がダメなのも、150年以上繰り返されてきたことがわかってくる。
本書は、「地下水脈」をあらためて見つめることで、日本の近現代史を再検証する。"

目次

はじめに 失敗の本質は「軍事主導」にあった
「人命軽視」の答えを探す旅/戦争が「ビジネス」であった戦前の日本/日本が模索した「五つの国家像」/「地下水脈化」した国家像/西南戦争と民権運動

第一章 日本にありえた「五つの国家像」
「歴史の地下水脈」とはなにか?/司馬遼太郎が指摘した「攘夷の地下水脈」/五つの国家像/暴力によって成立した体制は暴力でしか守れない/山縣有朋の「主権線」と「利益線」/戦争を「ビジネス」にした日本軍エリート/日本は帝国主義の「実験国家」/人身売買有罪と「芸娼妓解放令」/道義」を掲げ中国で戦った日本人/不平士族と民権運動/藩をもとにしたアメリカ型の連邦制国家/攘夷と「小日本主義」/無自覚的帝国主義からの出発/日本が植民地化を免れた要因/不平等条約という重荷/日本人乗客だけが全員死亡/プロイセンに理想の国家像を見る/征韓論の台頭/征韓論は「帝国主義」の萌芽か/天皇に武力を与える

第二章 武装する天皇制
天皇の武装化はなぜ必要だったのか?/武士と農民の不満/「軍人勅諭」で神話を国家原理に/政治への関与を厳しく戒める/「統帥権」と「輔弼」で軍人がやりたい放題/「明治政府にとって都合のよい天皇」に仕立てる/「これは朕の戦争ではない」/涙を流した明治天皇/伊藤博文の「説得」/大正天皇の文学的才能/御製に託した厭戦気分/昭和天皇の帝王学/「しかし、よくやった」/統帥権を行使できなかった昭和天皇/勝手に作られた「天皇のイメージ」/皇族が首相になるのには反対/昭和天皇の独り言/ポツダム宣言受諾を決めた理由/昭和天皇の涙の意味/昭和天皇に戦争責任はあるか?/戦争責任は「言葉のアヤ」/平成の天皇と「民主主義」

第三章 「軍事哲学」なき日本の悲劇
軍事哲学とはなにか?/「海主陸従」の逆転/フランス陸軍をモデルにする/プロイセン方式へ乗り換える/アメリカの軍制を採用しなかった理由/戦術を学んでも「軍事哲学」は学ばず/シビリアン・コントロールなき日本/丸暗記とゴマスリのエリートたち/朝鮮半島進出への野望/「主権線」と「利益線」/清を仮想敵国に設定/民権派から国権派に転じた徳富蘇峰/清を騙した西欧列強/三国干渉の屈辱と「臥薪嘗胆」/戦争の「蜜の味」/閔妃暗殺事件の謀略/森鴎外が翻訳したクラウゼヴィッツ/ ほか

商品詳細

シリーズ名
文春新書 1440
出版社名
文藝春秋
サイズ
18cm
対象年齢
一般
フォーマット
新書・選書

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