矛盾の水害対策 公共事業のゆがみを川と森と人のいとなみからただす
発売日:2023年12月
- ページ数
- 277p
- ISBN
- 978-4-7877-2315-4
- 著者情報
- 谷 誠(タニ マコト)
1950年大阪生まれ。京都大学名誉教授。農学博士。京都大学大学院農学研究科林学専攻博士課程修了。国家公務員試験(砂防学)合格、1981年農林水産省林野庁林業試験場入省。関西支場防災研究室で竜ノ口山森林理水試験研究に従事。1988年森林総合研究所(林業試験場を改組)森林環境部気象研究室長。マレーシア熱帯雨林のタワーでの蒸発散観測研究などを行う。1999年京都大学大学院農学研究科地域環境科学専攻森林水文学分野教授。2016年退職。2016年〜2021年人間環境大学特任教授。現在も水循環・流出モデル・災害論などの研究を続けている。一般社団法人縮小社会研究会会員。2012年〜2014年一般社団法人水文・水資源学会会長、2014年公益社団法人日本地球惑星科学連合フェロー。2022年日本農学賞・読売農学賞受賞
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商品説明
どんなに強固な治水対策をしても、洪水や土砂災害は防げない!国土の上流をダムなどのインフラで固める国土強靱化事業は、農業や林業を壊滅させる。そんな公共事業は、人新世の現代において完全に間違っている。最新科学を理解すれば、水害や渇水や土砂災害対策において、何を優先するべきか明らかになるだろう。日本の治水政策に対する提言書。
「シンプルで極端な見解には、必ず意図的な捨象や独断が含まれている。そんなことでは、複雑な自然に対峙することなどできない。予測できない自然と人間のいとなみの折り合いを、森林水文学者が多角的に模索する――中島岳志」
どんなに強固な治水対策をしても、洪水や土砂災害は防げない。特に激化する大雨被害は、人間活動の結果である地球変動が原因であるのに、堤防やダムをつくり続けることで対応するなど、人新世の現代では完全に間違った対策である。最新科学を理解すれば、水害や渇水や土砂災害対策において何を優先するべきか、明らかなのである。
国土交通省も、近年は頻発する水害が防ぎ切れないことを認め、堤防やダムだけでない、流域の住民と協力する「流域治水」プロジェクトを進めている。
けれども、長年にわたり、水害裁判やダム建設で対立を続けてきた流域住民と国が協力することなどできるのだろうか。そもそも国の方針は、川の上流をインフラで固めて、山村の農業や林業を壊滅させていく公共事業に変わりはないからである。
こうした矛盾だらけの水害対策に、研究生活50年の森林水文学者が異議を唱え、「望ましい水害対策」のあり方を探る。
目次
はじめに
0・1自然災害の原因は地球活動である
0・2なぜ、水害はなくならないという前提に立てないのか
0・3水害対策に必要なふたつの提案
0・4水掛け論を超えた水害対策を探る
第1部 水害対策と対立の歴史
第1章 水害ではなぜ対立が生まれるのか
1・1災害復旧工事を繰り返して造られてきた風土
1・2川のもつ自然性からもたらされるふたつの困難
1・3大東水害裁判のかみ合わない対立
1・4医療裁判との比較から水害裁判をみる
1・5淀川水系流域委員会における議論の経過
1・6堤防強化とダム整備事業計画との相容れなさ
1・7改良を追求する大和川の付け替え事業
1・8江戸時代の淀川流域の複雑な利害関係
1・9瀬田川浚渫に対する下流の猛反対
1・10利害調整の結果としての天保のお救い大ざらえ
1・11河川事業がかかえる利害調整のむずかしさ
第2章 河川整備事業における苦悩の戦後史
2・1戦後の河川整備事業の出発点
2・2改良追求事業の基準を決める水文設計
2・3水害裁判における国の防衛ライン
2・4川に対して環境保全を要望する声の高まり
2・5長良川河口堰反対運動の衝撃
2・6環境保全問題への河川官僚の対応
2・7合意形成への河川官僚の対応
2・8河川法改正後も残された対立
第3章 基本高水流量の値に根拠はあるのか
3・1利根川の河川整備計画への疑問
3・2学術会議における基本高水流量検証
3・3森林の保水力向上について
3・4貯蓄関数法による流量推定方法を理解する
3・5洪水流量に及ぼす地質の大きな影響
3・6山地流域における洪水流量推定のむずかしさ
3・7はたして200年確率流量を推定できるのか
3・8やれることを目標に言い換えた河川整備計画
第4章 安全性向上の哲学では改善されない対立構造
4・1川の自然性から生じる水害対策の矛盾
4・2改正河川法の理想と矛盾する安全性向上の哲学
4・3ダムの放流操作の困難さ
4・4予測できない自然を人間が操作する矛盾
4・5河川整備事業への世論の後押し< ほか
商品詳細
- 出版社名
- 新泉社
- サイズ
- 19cm
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 単行本
注意事項
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