東アジア漢文世界の地政学と日本史書
発売日:2023年9月
- ページ数
- 281p
- ISBN
- 978-4-7576-1075-0
- 著者情報
- 渡瀬 茂(ワタセ シゲル)
昭和26年に兵庫県尼崎市、いにしえの津の国は神崎の里のわたりに生まれる。東京都立石神井高等学校および東京都立大学人文学部に学び、国語教師として学習塾・中学校・高等学校・看護学校・短期大学・大学教育学部などの教壇に立つ。現在は和歌山県橋本市に余生を送っている
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商品説明
漢字文化圏における威信言語と民族語の葛藤。地政学の泰斗マッキンダーの言う「世界島」の東辺は、威信言語である漢語漢文が支配する世界であった。周辺諸民族は中国から漢字を学び、それぞれの文化と制度を発展させた。例えば鮮卑や契丹、あるいは朝鮮や越南、そして島嶼部の倭と琉球であった。それらの民族の言語と威信言語との葛藤は避けられなかったし、漢化受容派と民族派との対立もあった。本書では中国正史などの史書に即してその葛藤の様相を見た。この葛藤の中でも史書は漢文で書かれるべきものであったが、民族語と民族文字で書かれた史書としていち早く成立したのは『栄花物語』であり、東アジア漢文世界で画期的であった。併せて、「国語」の語の来歴を鮮卑族まで遡り、民族語の矜恃を示す言葉であることを確認した。加えて、古代中国に由来する「国人」の語の変転を辿り、また前漢儒教に発する「列女伝」の展開が『大日本史』北条政子伝に至る意義をも考えた。
史書は漢文で書かれるべき漢字文化圏にあって、威信言語と民族語の葛藤の中で、民族文字で書かれた史書『栄花物語』が出現する意義を、地政学的な視点を加えて探る。広い時空の射程と多様な視座で史書を論じる試み。
目次
序説 母語・民族語・威信言語
パラグアイのグアラニー語/威信言語と民族語/東京の潘佩珠と梁啓超
I 国語と国人
1.国語前の「国語」
国語教師と「国語」/遼史国語解の契丹語/隋書経籍志の「国語」と鮮卑語/元史と清史稿の「国語」
2.遼史の語「国人」をめぐって
遼史の「国人」/古代中国の「国人」/越南と琉球の「国人」
3.朝鮮史書と六国史の「国人」
三国史記の「国人」/高麗史の「国人」/六国史の「国人」
II 栄花物語成立前史小考
1.中華周辺民族語の運命と歴史叙述
殷周革命と威信言語/春秋学の夷狄と中国/異民族王朝の歴史と正史の歴史叙述/歴史叙述と王朝の正閏/中華周辺民族の漢文史書/民族文字の政治性/倭族の地政学と栄花物語
2.平安朝の言語革命と土左日記
嵯峨天皇と外国語/醍醐朝の言語革命/土左日記の仮名と漢字/改革と変動の時代
III 東アジアにおける列女伝の展開
1.劉向列女伝の女性像
劉向の孟母像/列女伝の女性たち
2.遼史列女伝の賢女と烈女
賢女と烈女/遼史列女伝の女性たち
3.脱脱と金史・宋史の列女伝
遼史・金史・宋史の成立と脱脱/金史列女伝の烈女たち/宋史列女伝の多様な烈女
4.高麗史の烈女たち
高麗史烈女伝の序文/高麗史の烈女と倭寇
5.大日本史列女伝の北条政子像
大日本史列女伝/北条政子伝の意義
IV 大越史記全書の趙越王記事を読む
大越史記全書の李帝越王紀/中国正史と大越史記全書/正史の越南記事/英雄の力の秘密と女性
索引(主要人名索引・書名索引・言語名索引・文字名索引・重要事項索引)
附表 中国正史、清史稿および朝鮮正史の一覧表
発表誌一覧
あとがき
商品詳細
- シリーズ名
- 研究叢書 561
- 出版社名
- 和泉書院
- サイズ
- 22cm
- フォーマット
- 単行本
注意事項
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