電子物性とデバイス
発売日:2020年11月
- ページ数
- 223p
- ISBN
- 978-4-339-01809-7
- 著者情報
- 益 一哉(マス カズヤ)
1982年東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程修了(電子工学専攻)。工学博士(東京工業大学)。現在、東京工業大学学長
天川 修平(アマカワ シュウヘイ)
2001年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(電子情報工学専攻)。博士(工学)(東京大学)。現在、広島大学准教授
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商品説明
固体物性の難所、エネルギーバンド形成を量子力学ではなく回路論で解説。デバイス物理の直観的理解の鍵を握る擬フェルミ準位の概念とエネルギーバンド図の読み解き方を他に類のないほど詳述。物性とデバイスの普遍的な基礎を説く斬新な入門書。
バイポーラトランジスタを発明したWilliam Shockleyが書いたElectrons and Holes in Semiconductorsという本がある.この本では固体結晶と伝送線路の対比が少々論じられていて,著者(益)は学生の頃これを読んだのだが,正直,なぜ論じられているのか理解できていなかった.その後それで困ったこともなかったが,ずっと気に掛かっていたのだと思う.2010年に著者両名で本書の内容について議論を始めた時,いきおい,固体物性の基礎の部分は量子論を使わず回路論的に説明しようということになった.そのためにはまず,自分達でよく理解することから始めなければならなかったが,本書で上手くまとめることができたと思っている.
上記以外にも筆者らが気になっていた点を持ち寄って,十年越しで議論を重ねて出来上がったのが本書である.
もう一点だけ本書で重点的に取り上げた事項を紹介するならば,それは「エネルギーバンド図」ということになるだろう.半導体デバイスの教科書には必ずエネルギーバンド図なるものが登場する.では,なぜそのような図を描くのだろうか.「そういう習慣だから」という以上の理由があるのだろうか.この疑問に,エネルギーバンド図の読み方を他に類のないほど詳しく説明することで,答えることができたと思っている.しかるべく描かれたエネルギーバンド図からは,驚くほどデバイスの物理が読み取れるのである.本書のおかげで,我々自身もエネルギーバンド図とは一体何なのか,よく理解することができた(笑).そして,代表的な半導体デバイスであるダイオードのエネルギーバンド図を読み解いて,(長年講義をしていながらわかっていなかった)ある謎を解決することができた.詳しくは本書をご覧いただきたい.学生諸君の中には,大学の教員(や学長)は本書で取り上げているレベルの基礎事項を理解していて当然,あるいは教科書に書いてあることは全て正しいと思い込んでいる人もあるかもしれない.しかし,それはとんでもない思い違いである.本書の執筆に当たっても,筆者らにとって新しい発見がいくつもあった.同時に,力不足で書けなかったネタもあるし,ひょっとしたら誤りもあるかもしれない.本書を一つの踏み台にして,乗り越えて行くつもりで読んでもらえたらと思う.
先に述べたように,筆者らが常々気になっていた事柄も書き込んだので,既に半導体を学んだ方にもお役に立てる部分があるはずである.「談話室」も充実させたので,楽しんでもらえると幸いである.世の中の変化が早く,学びも理解も表層的になっているようにも思える中,部分的かもしれないが半導体物性とデバイスの本質に迫ったつもりである.
目次
1.緒論
1.1 デバイスとは
1.2 固体材料の分類と半導体
談話室 物理学者の電子物性とエンジニアの電子物性
1.3 半導体の性質
1.3.1 半導体の原子の並び方
1.3.2 真性半導体と不純物半導体
1.3.3 真性半導体のなりたち
1.3.4 エネルギーバンドの形成
1.3.5 真性半導体の性質
1.3.6 エネルギーバンド図
談話室 2種類のエネルギーバンド図
1.3.7 n型半導体とp型半導体
談話室 半導体への不純物添加
1.4 地球上に最も数多く存在する人工物は?
本章のまとめ
理解度の確認
2.回路理論からみた半導体デバイス
2.1 線形回路素子
2.1.1 線形抵抗器
2.1.2 線形キャパシタ
2.1.3 線形インダクタ
2.2 非線形回路素子
2.2.1 非線形抵抗器
2.2.2 非線形キャパシタと非線形インダクタ
談話室 抵抗器,キャパシタ,インダクタ以外の二端子素子
2.3 時不変回路素子と時変回路素子
2.4 多端子素子と制御電源
2.5 トランジスタ
談話室 回路素子分類の切り口
2.6 半導体デバイスの位置付け
談話室 半導体製の線形回路素子
本章のまとめ
理解度の確認
3.周期構造と波
3.1 物理とアナロジー
3.1.1 物理で現れる問題の構造の共通性
3.1.2 本章の見取り図
談話室 回路網的直観
3.2 周期的回路網の性質
3.2.1 無限はしご形回路網
3.2.2 無限LCはしご
3.2.3 無損失伝送線路
談話室 伝送線路理論の前提
3.2.4 繰返し回数が有限の周期構造
談話室 桁違いの難問
談話室 電気工学者の虚数単位と物理学者の虚数単位
3.2.5 分散関係と位相速度,群速度
談話室 集中定数回路と分布定数回路,有限と無限
3.3 半導体の分散関係と物性
談話室 量子論に対する古典アナロジーの限界
3.4 ブラッグ反射
本章のま
商品詳細
- シリーズ名
- 電子情報通信レクチャーシリーズ A-9
- 出版社名
- コロナ社
- サイズ
- 26cm
- フォーマット
- 単行本
注意事項
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