ありがとうを言えなくて

野村克也/著

発売日:2019年4月

  • ありがとうを言えなくて
  • ありがとうを言えなくて
ページ数
157p
ISBN
978-4-06-515040-5
著者情報
野村 克也(ノムラ カツヤ)
1935年、京都府生まれ。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。現役二七年間にわたり捕手として活躍し、南海の黄金時代を支えた。歴代二位の通算六五七本塁打、戦後初の三冠王などの記録を持つ。70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、ヤクルト、阪神、楽天の四球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を立ち直らせる手腕は「野村再生工場」と呼ばれ、ヤクルトでは三度の日本一を達成。楽天でも球団初のクライマックスシリーズ出場に導いた

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商品説明

野村克也が綴る亡き妻・沙知代さんへの愛惜。
まさかお前が先に逝くとは・・・。
生きている間に言えなかった「ありがとう」をいま、伝えたい。

(以下、本文より抜粋)
背中をさすりながら声をかけた。
「大丈夫か」「大丈夫よ」
それが最後の言葉になった。
それから息を引き取るまで、ほんの五分程度のことである。
人間の命とは、なんとあっけないものなのだろう。

あの沙知代がまさか死んでしまうとは。あらゆるものに抗って生きてきた女が、最後の最後、もっとも抵抗すべき死をこんなにもあっさりと受け入れてしまうとは。
これまで沙知代が死ぬことなど想像したこともなかった。病気もほとんどしたことがないし、持病もなかった。死ぬ直前まで、あんなにぴんぴんしていたというのに。

私は口癖のように「俺より先に逝くなよ」と妻に言っていた。返ってくる言葉はいつも同じだった。「そんなのわかんないわよ」と。
極度な心配性の私は、そんなことがあるはずはないと思いながらも、万が一のことを思って妻にそう釘を刺していたのだ。ところが、その「万が一」が起きた。あまりに突然の出来事に、心ががらんどうになった。その状態は今も変わらない。

沙知代を失って、家にも「体温」があることを初めて知った。猫はいつも家の中でいちばん暖かいところに寝ている。今の私がそうだ。この家の中でいちばん暖かそうな場所。それが沙知代の座っていた椅子だ。
家の中の目の届くところはサッチーだらけなのに、おまえだけがいない。

このがらんどうの人生を、俺はいつまで生きるんだろう。

商品詳細

出版社名
講談社
サイズ
18cm
対象年齢
一般
フォーマット
単行本

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