免疫の科学論 偶然性と複雑性のゲーム
発売日:2018年6月
- ISBN
- 978-4-622-08693-2
- 著者情報
- クリルスキー,フィリップ(クリルスキー,フィリップ)(Kourilsky,Philippe)
1942年生まれ。エコール・ポリテクニーク卒業、パリ大学で博士号(科学)を取得後、ながくフランス国立科学研究センター(CNRS)に勤務し研究部長を務めた。1998年にコレージュ・ド・フランス教授に就任し分子免疫学の講座を担当。2000年からはパスツール研究所所長を兼任し、フランス研究省の顧問も努めた
矢倉 英隆(ヤクラ ヒデタカ)
1972年北海道大学医学部卒業。1978年同大学院博士課程修了(病理学)。1976年からハーバード大学ダナ・ファーバー癌研究所、スローン・ケタリング記念癌研究所、旭川医科大学を経て、2007年東京都神経科学総合研究所(現東京都医学総合研究所)免疫統御研究部門長として研究生活を終える。2009年パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌ大学院修士課程修了(哲学)。2016年ソルボンヌ大学パリ・シテ大学院博士課程修了(科学認識論、科学・技術史)。2013年からサイファイ研究所ISHE代表。2016年からフランソワ・ラブレー大学招聘研究員
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商品説明
仕組みを知るだけでは免疫はわからない。生体防御の先端科学を説くコレージュ・ド・フランス「分子免疫学講座」から生まれた、深い思索と全く新しい免疫の学。
免疫は細菌からヒトまでほぼあらゆる生物に具わり、病原体や、がんなどの内部異常に休みなく対処している。日常的に「免疫力アップ」が話題にのぼり、がんの免疫療法も普及しつつあるが、免疫はとらえがたい。特定の臓器に収まるのではなく、全身に広く深く組み込まれ、集合と離散をくり返す。実体というよりも偶然が織りなす複雑性の連鎖のようだ。免疫はよく「異物を排除する」と言われるが、実際はそれほど単純ではない。異物を敢えて完全に排除しないことで効果を発揮する場合もある。自己と非自己の境界も曖昧だ。知れば知るほど免疫の謎は深まり、だから面白い。
本書はこれまでの免疫の本とは、かなり異なる。主題はヒトの生体防御だが、第I部で免疫を進化の文脈で大きくとらえ、その働きを工学の用語である「ロバストネス」によって概念化する。第II部ではその装置を「モジュール」に分け、構造とつながりを分析的に調べてゆく。そして第III部で、ヒト免疫系の全体像を描き出す。さらに本書全体に、既存の思考枠組みを揺さぶる警句があふれている。
「自然免疫と獲得免疫は混じり合っている」「特異性の低い反応の組み合わせが、高度に特異的な認識に導く」「自己と非自己の識別は、メカニズムの多数性の産物でしかありえない」「全体の動態だけが最適化を達成することができる」「免疫系はじつは、海面に見える生理学的氷山の一角にすぎない」
打ちひしがれるほど精巧で複雑な免疫の全体像に迫るには、仕組みの理解にとどまってはならない。フランスの学問的伝統が最良のかたちで活きた、新しい免疫の学。
目次
第1部 進化における生体防御(進化における捕食生物と獲物
系統樹の下部にある自然防御
断絶―獲得免疫 ほか)
第2部 ヒト生体防御の組織―部分が全体に向かう(分子と分子モジュール
分子モジュールの連鎖
細胞と細胞モジュールの構造 ほか)
第3部 ヒト生体防御の全体(監視機能
病原体に対する防御
内的混乱と生体防御 ほか)
商品詳細
- 出版社名
- みすず書房
- フォーマット
- 単行本
- 原題
- 原タイトル:LE JEU DU HASARD ET DE LA COMPLEXITE
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