わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か
発売日:2012年10月
- ISBN
- 978-4-06-288177-7
- 著者情報
- 平田 オリザ(ヒラタ オリザ)
1962年東京都生まれ。国際基督教大学在学中に劇団「青年団」結成。戯曲と演出を担当。現在、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授。二〇〇二年度から採用された、国語教科書に掲載されている平田のワークショップの方法論により、多くの子どもたちが、教室で演劇をつくるようになっている。戯曲の代表作に『東京ノート』(岸田國士戯曲賞受賞)、『その河をこえて、五月』(朝日舞台芸術賞グランプリ)など
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商品説明
最近、企業の英語公用語化が話題になっているため、誤解されている方が多いかもしれませんが、日本経団連の調査によりますと、企業が新卒採用にあたって最も重視している能力は、9年連続で「コミュニケーション能力」(80%超)がトップです。「語学力」はここ数年、6%程度に過ぎません。たしかに、中高年の多くの管理職の人たちは、「近頃の若者はコミュニケーション能力がない」と嘆いています。はたして本当に「ない」のでしょうか。そもそも、それほどまでに企業が要求する「コミュニケーション能力」とは、いったい何なのでしょうか。実は、いま企業が求める「コミュニケーション能力」は、完全にダブルバインド(二重拘束)の状態にあります。ダブルバインドとは、簡単に言えば二つの矛盾したコマンドが強制されている状態のことです。たとえば日ごろ、「我が社は、社員の自主性を重んじる」と言われている社員が、何かの案件について上司に相談に行くと、「そんなことも自分で判断できんのか。いちいち相談にくるな」と突き放されてしまいます。ところが、いったんトラブルが起こると「重要な案件は何でもきちんと相談しろ。なんで相談しなかったんだ」と上司に怒られてしまう――。現在、表向き、企業が要求するコミュニケーション能力とは、「グローバル・コミュニケーション・スキル」=「異文化理解能力」です。異なる文化・価値観を持った人に対しても、きちんと自分の主張を伝えることができる、文化的な背景の違う人の意見も、その背景(コンテクスト)を理解し、時間をかけて説得し、妥協点を見いだし、そのような能力を以てグローバルな経済環境でも存分に力を発揮できることです。しかし、実は日本の企業は、自分たちも気がつかないうちに、もうひとつのコミュニケーション能力を求めています。それは、「上司の意図を察して機敏に行動する」「会議の空気を読んで反対意見はいわない」「輪を乱さない」といった従来型のコミュニケーション能力です。いま、就活をしている学生たちは、あきらかに二つの矛盾したコミュニケーション能力を同時に要求されています。しかも、何より始末に悪いのは、要求している側が、その矛盾に気がついていない点です。なぜ、こうした事態が起こるのか――。
【子育てが楽しくなる1冊(中高生)】
現在の日本では「コミュニケーション教育」とか「コミュニケーション能力」という言葉が氾濫しているように感じますが、そのほとんどが、不足している、ということが前提となっています。コミュニケーションとは「わかりあうこと」が基本ですが、本書はタイトルにあるように、「わかりあえないことから」出発します。著者の平田さんは劇作家・演出家であり、小学生から大学院生まで、授業の一環として教室で演劇をつくっています。平田さんは「昨今、小学校の高学年、あるいは中学生になっても、単語でしかしゃべらない子どもが増えている。しゃべれないのではない。しゃべらないのだ」といいます。子どもたちのコミュニケーション能力が低下しているのではなく、コミュニケーションに対する意欲が低下しているのであり、必要性のない世界に生きている、と指摘しています。コミュニケーションに対する思い込み、誤解、胡散臭さが見えてくるような、目からウロコの1冊です。
目次
第1章 コミュニケーション能力とは何か?
第2章 喋らないという表現
第3章 ランダムをプログラミングする
第4章 冗長率を操作する
第5章 「対話」の言葉を作る
第6章 コンテクストの「ずれ」
第7章 コミュニケーションデザインという視点
第8章 協調性から社交性へ
商品詳細
- シリーズ名
- 講談社現代新書 2177
- 出版社名
- 講談社
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 新書・選書
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