日常的抵抗への招待 後期新自由主義における子どもと教育
発売日:2026年3月
- ページ数
- 329p
- ISBN
- 978-4-903127-38-5
- 著者情報
- 桜井 智恵子(サクライ チエコ)
University of the Philippinesなどを経て、大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程満期退学。博士(学術)。関西学院大学人間福祉研究科教授。専門は、教育社会学、社会思想史
セブン-イレブン受取り(送料無料)
発送目安
発売日(発売日以降は当日)~2日で発送
宅配(送料¥550税込)
発送目安
発売日(発売日以降は当日)~2日で発送
交通状況・天候の影響や注文が集中した場合等、お届けにお時間をいただく場合がございます。
商品説明
活躍、個別最適化、共助を「楽しむ」よう促す現代社会は、「稼げる」能力を日々更新するよう個人にはたらきかける。更新できなければ、自立支援や学習支援などを受けるよう迫る。「私」は、この価値観を内面化し、他人にも押しつけはじめ、自責他害をさらに強めて、ケアの争奪戦に駆り立てられる。この本は、「稼げる個人」とは別の、存在の自由への招待状です。
――いま必要なのは、「しっかりがんばる」とは別のあり方である。
活躍、個別最適化、共助を「楽しむ」ようすすめる今日の社会は、「稼〔かせ〕げる」能力を日々バージョンアップするよう、個人にはたらきかけている。更新できなければ、自立支援や学習支援などのケアを受けるよう、データ化を通して、個人に迫る。
「私」は、この価値観を内面化し、他人にも押しつけはじめ、自責他害をさらに強めて、ケアの争奪戦に駆り立てられる。
今日の社会、すなわち後期新自由主義の体制は、第一に、経済成長期の命令型の訓練と管理から、個別最適に学習する自発的な自己調整へのバージョンアップを特徴とする。
第二に、このバージョンアップからはじかれる人々に対しては、市民や地域が国家に代わって支援する「ケア」への注目がある。
たとえば、組織や制度の内部に、はじかれた「ヤングケアラー」の「声を聞く」相談窓口が設置されたり、その業務がNPOに委託〔いたく〕されている。
もちろん、今まさに困っている子どもを支えなければならない状況は、あちこちにある。
けれども、困っている子どもを支援するという真摯〔しんし〕な姿勢は、ともすれば、どんな関わり方をすればよいのかという、方法やマナーの問題に手順化されがちでもある。
保護者も、教師やケアワーカーや研究者も、方法や関わり方に傾注するあまり、その子どもの問題を直接に間接に形づくる社会経済的な構造を問うあり方――日常的抵抗――から遠ざかってしまう。ケアや支援でなんとかしていくほうがてっとりばやい、という考え方が優勢になり、社会問題は個人化されていく――「あなたが、私が、しっかりがんばらなきゃ!」
しかも構造的な問題を問うても周囲から煙たがられるため、稼いで豊かになって困難や困窮を乗り越えるという思考パターンにいっそう染まっていく。稼げない日本になっても、あるいはなったからよけいに、この発想は強化される。
こうして、既存の社会構造はそのままに、ケアや支援は、現場の当事者たちによる関係性や手法で完結してしまうのである。
本書は、ケアや支援がいかに便利使いされ、そこに教育や福祉の業界はどのように加担し、加担させられているかについて、まずは歴史的に把握する。そのうえで、「稼げる個人」とは別のあり方と自由について、アナキズムや政治思想史の知見、各地で行なわれている実際の取り組みなどを紹介しながら、素描を試みる。
「〈われわれ〉を構築する後期新自由主義の力学は、全体性に吸い込む精神統治である。〔…〕能力や開発の賛美に従わない、という重要な日常的抵抗が、〈われわれ〉にはできる。」
――この本は、「稼げる個人」とは別の、存在の自由への招待状である。
目次
【目 次】
序 章
第I部 生政治としての支援
・ 第1章 「支援」という包摂――自己責任への主体化
・ 第2章 取り出される「ケア」――ヤングケアラーの構築
・ 第3章 なぜケアが問題化されるのか――生政治としての支援の組織化
・ 第4章 「自立した個人」という福祉国家の原理的課題――ワークフェア子ども版:学習支援を問う
・ 第5章 後期新自由主義が誘う地域支援――「レイドロー報告」の現代的限界
第II部 子ども・家庭という戦場
・ 第6章 こども家庭庁の「こどもまんなか」政治――後期新自由主義における「ウェルビーイング」
・ 第7章 戦後民主主義教育とこども家庭庁のつながり――結婚‐出産‐子育ての奇妙な結びつき
・ 第8章 高度経済成長期初頭の家庭における学歴の高度化――学卒労働市場の継時的変化を手がかりに
第III部 教育と市民社会の政治
・ 第9章 子どもの「ニーズ解釈の政治」――学力向上とケアの完結体制
・ 第10章 「子どもの権利」の使われ方――ベールをかける物語
・ 第11章 インクルーシブ教育を考える重要な視点――国連主義を超えて
・ 第12章 こども基本法の課題と学校――資本主義的差別をめぐって
第IV部 日常的抵抗への招待
・ 第13章 別の生のあり方論序説――アナキズムなるものの「陣地戦」
・ 第14章 声の統治と再生――現状を支える/支えない主体
終 章 〈われわれ〉への叛逆――全体性の力学と自由
文献一覧/ あとがき/ 索 引(人名・事項)
商品詳細
- 出版社名
- 洛北出版
- サイズ
- 20cm
- 対象年齢
- 一般
- フォーマット
- 単行本
注意事項
- 本の帯に関して
- 帯つきでの出荷はお約束しておりません。
商品ページに、帯のみに付与される特典物等の表記がある場合でも、確実に帯つきでの出荷はお約束しておりません。
また、帯は商品の一部ではなく「広告扱い」のため、帯の有無・破損による交換や返品は承っておりません。 - 版・表紙について
- 版・表紙(カバー)のご指定は承っておりません。ご注文いただくタイミングによっては、お届けする商品の版や表紙が商品ページ上のものとは異なる場合がございます。
また、初版にのみにお付けしている特典(初回特典、初回仕様特典)がある商品は、商品ページに特典の表記がされている場合でも、無くなり次第終了となります。